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満渕研究室取材同行記


3-A.神経線維をみつける

続いて、神経細胞一つの信号だけを電極で拾えるように微調整に入ります。うまくいくと、限られた領域を押したり叩いたりしたときに、信号が入るようになります。信号は、スピーカーから音として聞いたり、オシロスコープという機械の画面に表示させたりできます。 立花さんの右手を軽く叩きながら拾った信号を観察して、多数の神経スパイクが混ざっているのか、単一の神経スパイクだけが聞こえているか判断し、多数の神経スパイクが混ざっているときは、少し電極の位置を動かして、また同じことをする、という作業が行われました。

わずかに電極がずれるだけでやり直さなくてはならない、じれったい作業です。「電極の先がずれるといけないので、なるべく首を動かさないでください」とまで立花さんは言われていました。


3-B.刺激する

単一の神経スパイクだけがよく聞こえるようになると、一本の神経線維(=軸索)の信号だけを測れていることになります。

今度は同じ電極にパルス波を送って、軸索上でインパルスを発生させて、立花さんがどのような感覚を受けるのか確かめていました。ヒト以外の動物だと、神経を電気刺激されたときにどんな感覚を受けているのか、言葉で伝えることができないので、人間を対象にしてこの実験をするのに意味があるということです。

ところが、なかなかはっきりした感覚が立花さんに伝わりません。「中指の内部になんとなく、こうある感じ」とか、「ひじの外側から小指にかけてすーっと撫でられた感じ」とか「なぜだか左脚になにかある気がする」とか曖昧な感覚が生じている様子で、しかも、刺激のon/offと感覚の有無が一致しているのか、いまいちわかりません。

この作業は長くかかりました。2時間以上にわたって、 3回にわたって針を刺し直し、針も替え、神経線維を探す作業からやり直していました。

針電極の電位変化を聞きながら神経線維を探している最中に、非常に強いノイズが、 2分程度続いて途切れることを繰り返しました。実験が進まないと何も撮れないので、NHKの人達も機器の電源を切っていました。

見回すと、部屋の壁は金属に塗料を塗った様子で、扉のガラスにも金属の線が縦横に約1mm間隔で入っていて、天井の換気扇も金属の網で覆われています。どうやら部屋全体が外部の電波を通さないようになっている様子です。

おそらく部屋の中にノイズの原因があったはずですが、何が原因だったかはわかりませんでした。が、しばらく待っているとノイズは収まって、実験は再開しました。

最終的には、立花さんが右手中指の、第一関節あたりの側面になにか感じる、という状態で次に移りました。


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